ヒストリー

旧建設省建築研究所を中心にITの歴史を発掘します。

旧建設省建築研究所における各種記録媒体の変遷


建設省建築研究所は、建設省で最も早くからコンピュータを導入し、住宅政策の基礎となる住宅統計に関する集計分析を行ってきました。1980年に筑波研究学園都市に移転した当時、大型電算機センターを中心として、データ・ハイウェイと称する、各種実験棟を結ぶネットワークを構築するなど、当時としては最先端のネットワーク環境を実現しました。 一方、1982年には、ワードプロセッサーを各フロアーに導入するなど、事務のOA化にも積極的に取り組み、また有志の研究費によるイエローケーブル敷設を少しずつ拡充する形で、インターネット接続を早くから進めています。以上のようなことから、各時代の記録媒体のサンプルが残されています。
現在では殆ど使われていない記録媒体
-パンチカード
-紙テープ
-磁気ドラム
-磁気テープ(MT)
-データカートリッジ(CMT)
-フロッピーディスク(8、5、3.5)
-CF
現在でもまだ使われている媒体
-MO
-DAT
-UVROM、EEROM
-HDD
-CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD
H22年度に、これらのサンプルを集めると共に、記録の原理、媒体の特徴・普及と消滅過程、媒体の寿命などについて検討・評価を行います。更に、旧形式の媒体変換サービスについても調査を行い、収集したサンプルを用いて、変換テストを試みます。

各記憶媒体の概要

MT(磁気テープ)

オープンリール
1970年代から、オープンリールは、メインフレームのためのデータ記憶装置として使用されており、住宅統計、交通量調査などのデータを格納するために使用されていた。 1995年の兵庫県南部地震の調査に際しては、関連自治体から、都市計画基礎調査のために作成された市街地現況に関するデータを格納したMTの提供を受けたが、 この頃からMTは余り使われなくなっており、MOやCD−R等の、大容量の記憶媒体が代わりに使用されるようになった。 1995年の兵庫県南部地震の調査に際しては、関連自治体から、都市計画基礎調査のために作成された市街地現況に関するデータを格納したMTの提供を受けたが、この頃からMTは余り使われなくなっており、MOやCD−R等の、大容量の記憶媒体が代わりに使用されるようになった。MTの特徴は、シリアルなデータの入出力であり、大きなデータの保存や、システムのバックアップに適している。ビデオカセットを小型化したDATは、回転ヘッドにより小型のカセットにGBスケールのデータを格納できるデバイスであり、現在でも小数ながら使用されている。
シリアルなアクセスは、音楽や映像の記録と共通性が高く、記録媒体の盛衰は連動している。 
CMT
カセットテープ:音楽用のカセットテープに、プログラムやデータを音データとして記録することは、1980年頃の初期のマイコンにおいて行われた。
デジタル・データレコーダ:音楽用カセットテープと同形であるが、表裏を識別するための切り込みがある。産業用オートメーションのためのデータ記録などに使用された。PC用の機器としては用いられなかった。
データ・カートリッジ :ワークステーション等に使用される大型のカセットテープである。Windows系のOSを搭載したPCには使用されず、UNIXj系のマシンでtarコマンドで読み書きを行う。
DAT
記憶容量、密度、速度は向上しているが、HDDの急速な容量拡大と比較するとゆるやかであり、バックアップ・メディアとしての用途は限られる。 ドライブのメンテナンスが必要であり、整備不良のドライブは記憶媒体を破損する恐れがある。

FD(フロッピーディスク)

1982年に建築研究所で最初に導入されたワードプロセッサー(富士通OASYS)は、8インチFDDを2台有し、システム起動用と、データ保存用に使い分けていた。
同年に発売されたNEC社製PC9801シリーズは、暫くの間、簡単なプログラム(N88BASIC)による数値計算等に広く利用された。 これにもまだハードディスク装置はなく、8インチFDドライブから起動する方式を採用していた。
ミニ・フロッピー・ディスク(5インチ)は、70年代末から存在したが、密度が低く、8インチに代わって業務用に使用されるようになったのは、両面倍密度(2DD,720KB、1983年)、両面高密度(2HD,1MB,1984年)が発売されて以降である。
 1985年頃から、3.5インチFD(2HD,1MB)が使い始められ、以後現在に至るまで長く使用された。来年3月に販売停止となる予定であり、現在(2010.7)駆け込み需要が発生している。
8インチFDの形式
 
片面単密度(1S) 128KB
両面倍密度(2D) 1MB  
5インチFDの形式
 
片面単密度(1S) 140KB
片面倍密度(1D) 360KB
両面倍密度(2D) 640KB(8セクタ/トラック)、720KB(9セクタ/トラック)
両面高密度(2HD) 1.2MB(8インチと相似)、1.44MB(9セクタ/トラック)  
3.5インチFDの形式
 
両面倍密度(2D) 640KB(8セクタ/トラック)、720KB(9セクタ/トラック)
両面高密度(2HD) 1.2MB(8インチと相似)、1.44MB(9セクタ/トラック)
2.88MBの形式も発売されたが普及しなかった。 

MO(光磁気ディスク)

 2010年8月時点で、ドライブ及び媒体共に入手可能である。  128MB・230MB・540MB・640MB・1.3GB・2.3GBの容量がある(GBクラスの容量を持つものは「GIGAMO(ギガモ)」と呼ばれる)。他にも5.25inchタイプのメディアがあり、パソコン及びワークステーションやサーバで用いられ最大で9.1GB(両面)の容量がある。 日本以外で余り普及していない。耐久性が高いことから、企業や公官庁におけるデータの保存に用いられている。

CD/DVD

 640MB〜5GB程度のデータを保存する記憶媒体。音楽用として普及したものをデータ保存にも用いている。
 1970年にレーザーディスク、75年に光ディスクが実用化され、82年にこれを小型化したCDが生産開始された。
蒸着膜には通常はアルミニウムを用いる(20-30年)が、金や銀を用いたものもある(ゴールドディスク等〜100年)。
基板には 通常ポリカーボネート樹脂を用いるが、温度や湿度変化の影響が比較的少ないガラス製のCDが開発・発売され、 保存性の改善が期待されている。また 液晶パネル用のポリカーボネートを使用したスーパー・ハイ・マテリアルCD(SHM-CD)とハイ・クオリティCD(HQCD)がある。
CD-ROM
音楽用のCD媒体に、データを記録する媒体。工場で書き込み、ユーザー側では読み出し専用。データを感光処理でガラス凹凸加工しこれにニッケルを電鋳した原盤を造る。これでポリカーボネート樹脂を成型し、アルミ層をコーティングする。これにラッカーを塗る。費用は最低100-600枚で31千円程度(1009時点)。
CD-R
 ユーザー側でCDを一度だけ書き込める媒体・装置。色素を用いており、この劣化が寿命を決める。  
CD-RW
 ユーザー側でCDに書き込んだデータを削除し上書きできる媒体・装置。  
DVD (Digital Versatile Disk)
 CDと同様の形状で最大約17GBまで記録できる媒体・装置。トラックの密度を上げ、記録面を2層化し、更に両面に記録することにより、容量を上げている。 この多様化した状況はフロッピーディスクの末期にやや似ている。  

CDのフォーマット

 CDのトラック(1.6μm幅)は、レコードと同様に渦巻き状の長い1本の線となっている。DVDは磁気ディスクのように同心円(0.74μm幅)。  
CD-DA形式
 音楽専用CDで広く用いられている古い形式。最大99のトラックが設定できる。PCでは、TrackXX.cda等のインデックスファイルの一覧が見える。 コンテンツ本体は統一された独自のPCM形式で記録されている。  
データCD形式
 ディレクトリ(フォルダー)を階層的に構成して、各種形式のファイルを格納する。音楽用データとしては、以下の形式が選択的に用いられている。  この他、各種フォーマットのデータファイルを記録することができ、音楽以外の様々な用途にも広く用いられている。  
MP3形式
 圧縮あり。動画用のMPEG3形式のサウンド部分を使用している。ライセンスの制約がある(Thomson社)  
WMA形式
 圧縮あり。プロテクト設定が可能(Microsoft社)  
WAVE形式
 圧縮なし。データ変換や編集作業用のファイルとして用いられる。  

CF

初期のデジタル・カメラの画像記憶用媒体として使用された不揮発性メモリ(記憶を保持するために電源を必要としない)である。旧建築研究所の備品としては、平成10(1998)年頃からデジタル・カメラが導入されている。
(以下、Wikipedia:フラッシュ・メモリ、コンパクト・フラッシュの項から抄)
 1994年にアメリカのサンディスクにより開発され、  製品の寸法は42.8mm×36.4mm×3.3mmのTypeIと、少し厚い5mmのTypeIIがある。
 インターフェース:50ピン。パラレルATAとインタフェース上の互換性を持つため、コネクタの配線変換でIDE変換ができる。
 記憶素子として、フラッシュメモリー(不揮発性EEPROM)を用いている。
 寿命:フラッシュメモリの記憶素子は動作原理上絶縁体となる酸化膜を貫通する電子により劣化するため、  消去・書き込み可能回数が限られており、数百回が限界である。  現状の製品では、書き込みの偏り対策としてコントローラを搭載して消去・書き込みが特定ブロックに集中しないように(ウェアレベリング)しているが、それでも数万回から数百万回が限度である。
 保持期間:前述の寿命に達していなくても、書き込まれたデータの保持期間は有限である。  これは、フローティングゲートに充電した電子によって情報を記憶するという構造によるもので、  メーカーの公称値では、書き換えによって劣化していない状態で10年から数十年となっている。  また、これは環境の影響を受け、高温や放射線のあたる環境下においては保持期間は通常より短くなる。

HDD

1982年頃から普及が始まったパソコンにおいては、ハードディスクはまだ装備されておらず、FDDから起動する方式が主流だった。その後、大量のデータを保存するために、外付けのHDD装置が付加される形となり、やがて内臓HDDからシステムを起動する方法が一般的となった。初期のHDDは、20MB程度の容量しかなかったが、その後現在に至るまで急速に容量が拡大してきた。その間インターフェースも変化してきた。 単体として見た場合、150GB程度を超えると、故障率が高まり、故障した場合のサルベージ作業が困難になる。

入出力インターフェースについて


各種の記憶装置をシステムに接続する場合には、外付け型であるか内蔵型であるかにかかわりなく、インターフェースが必要である。インターフェースには、コネクターの形状などの物理的な仕様と、信号線の数とそれぞれの役割、信号電圧レベル等に関する物理的な仕様が定められている。

RS-232C

GPIB

SCSI

VGA

ETHER

IDE

SATA

USB


FD媒体変換手順について


FDに格納されているデータを、再利用するためには、以下のような手順に従う。
(1) MS-DOSフォーマット(640KB, 1.2MB)のディスクの場合
8インチ、5インチのドライブを用意する。これを接続することのできるPCに接続する。
PCにハードディスク装置が存在すれば、そこにデータを蓄積する。
RC-232C等の回線により、CD-Rドライブが接続可能なマシンにデータを転送する。
蓄積されたデータを、CD-Rに書き込む。
なお、同じ形式のディスクであっても、NEC-9801系と、IBM-PC系では、1トラック当たりのセクター数が異なっている点に注意する必要がある。
(2) N88BASICフォーマット(640KB)のディスクの場合
テキスト・ファイルは、JISコードで記述されている。
N88BASICを起動した上で、プログラムでファイルを開き、
 save "2:filename", a
等のコマンドで、Shift-JIS形式のテキストファイルに変換する。
次に、このファイルをMS-DOSのファイルとして保存する。
(3) 専用ワープロ機の文書ファイルで、MS-DOS上で実行可能なコンバータがある場合 
当該ソフトウェアが使用されていた当時のハードウェア環境を用意する。
そのハードウェア環境において、当時用いらていたファイル・コンバータを用意する。
これを用いて、MS-DOS上のテキストファイルに変換する。
以下、(1)の手順に従う。
(4) 専用ワープロ機の文書ファイルで、当該ワープロにMS-DOSへのコンバータが存在する場合
当該専用ハードを現時点で使用できるようにする必要がある。


タ―ゲットとするマシンに要求される条件


  (1)メモリが永久的なものであること
   ・CFのような原理的に有限寿命で、放射線や熱に対して脆弱な素子は不適切
   ・密度・容量は重要ではない
   ・冗長性を持たせる価値があるかも知れない
  (2)インターフェースが単純であること
   ・FDやMTのように複雑で寿命の短い特殊なドライブを必要とする素子は不適切
   ・IOが高速度であることは必ずしも必要ではない
   ・腐食等により接続・取出不能とならないこと
  (3)データ形式が説明されていること
   ・データ形式が長い時代に渡って不変である必要は必ずしもないが、中身について詳しい解説は必要
   ・バイナリが望ましい(テキストは、それ自体コーディングにバリエーションがある)

開発言語・座標系とオープン・ソース資産について


  GISデータや三次元データを扱う上では、座標系は重要な要素の一つである。一般に、持ち運びできるようなオブジェクトの場合には、 物体の近傍に座標原点が置かれている。 これに対して、住宅や社会資本などの地面に定着したオブジェクトの場合には、座標系が異なる場合に、位置や方位を知ることが難しくなる。 GPSの時代には、地球を記述する座標系とオブジェクト近傍の座標系は平面直行座標系の間の変換マトリクスの問題に帰着する。
 ところが、この問題を複雑にしているのは国家座標系の存在である。 世界各国では、それぞれの地域において実用的な測量業務を実現するために国家座標系を定義している。下げ振りや水準器を用いた測量を行うためには、 その場所の低い重力ポテンシャル面(ジオイド)を水平面とする座標系が定義されているのが便利であった。 我が国の場合には、東京を中心に定められた旧国家座標系においては、この座標系においては、全国が19の区域に分けられ、それぞれの区域毎の原点が緯度経度で定義されている。
 東北日本の東側に重力ポテンシャルの急斜面が存在することから、鉛直線が地球の中心よりも著しくユーラシア大陸側に傾いた直行座標系となっていた。 この傾きを修正するために、2002年に世界測地系への変更が行われた。これに伴う座標値の変換のために、公的機関から、オープン・ソースのソフトウェアが公開されている。 例えば、国土地理院からは、座標系の変換(旧国家測地系→世界測地系)を行うプログラムが公開されている。
 これは、Visual Basic言語で記述されている。プログラムをデバッグするためには、VisualBasicの開発環境が必要である。その開発環境は、VVer.7.0(.NET2002)に大きく改訂されたために、以後のバージョンでは処理することができない。従って、Ver.6.0を実行する古い環境が必要となる。試してみると、WindowsXPへの6.0開発環境のセットアップは途中でエラーを生じたが、Windows Server2000へのセットアップは成功した。
Last updated : 2012/3/15 13:43:55
NILIM